00161
さふらひにてをのことものさけたうへけるに、めして郭公まつうたよめとありけれはよめる
みつね
ほとときす こゑもきこえす 山ひこは ほかになくねを こたへやはせぬ
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古今和歌集/巻三 00153
寛平御時きさいの宮の歌合のうた
紀とものり
五月雨に 物思ひをれは 郭公 夜ふかくなきて いつちゆくらむ
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古今和歌集/巻一 00057
さくらの花のもとにて年のおいぬることをなけきてよめる
きのとものり
いろもかも おなしむかしに さくらめと 年ふる人そ あらたまりける
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00053
なきさの院にてさくらを見てよめる
在原業平朝臣
世中に たえてさくらの なかりせは 春の心は のとけからまし
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古今和歌集/巻一 00049
人の家にうゑたりけるさくらの花さきはしめたりけるを見てよめる
つらゆき
ことしより 春しりそむる さくら花 ちるといふ事は ならはさらなむ
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00177
寛平御時、なぬかの夜うへにさふらふをのことも歌たてまつれとおほせられける時に、人にかはりてよめる
とものり
天河 あさせしら浪 たとりつつ わたりはてねは あけそしにける
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00171
題しらす
よみ人しらす
わかせこか 衣のすそを 吹返し うらめつらしき 秋のはつ風 00173
題しらす
よみ人しらす
秋風の 吹きにし日より 久方の あまのかはらに たたぬ日はなし
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古今和歌集/巻四
00170
秋たつ日、うへのをのこともかものかはらにかはせうえうしけるともにまかりてよめる
つらゆき
河風の すすしくもあるか うちよする 浪とともにや 秋は立つらむ
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00167
となりよりとこなつの花をこひにおこせたりけれは、をしみてこのうたをよみてつかはしける
みつね
ちりをたに すゑしとそ思ふ さきしより いもとわかぬる とこ夏のはな
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00163
はやくすみける所にてほとときすのなきけるをききてよめる
たたみね
むかしへや 今もこひしき 郭公 ふるさとにしも なきてきつらむ
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00207
これさたのみこの家の歌合のうた
とものり
秋風には つかりかねそ きこゆなる たかたまつさを かけてきつらむ
00210
題しらす
よみ人しらす
春霞 かすみていにし かりかねは 今そなくなる 秋きりのうへに
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00200
題しらす
よみ人しらす
君しのふ 草にやつるる ふるさとは 松虫のねそ かなしかりける
00205
題しらす
よみ人しらす
ひくらしの なく山里の ゆふくれは 風よりほかに とふ人もなし
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古今和歌集/巻四 00196
人のもとにまかれりける夜、きりきりすのなきけるをききてよめる
藤原忠房
蟋蟀 いたくななきそ 秋の夜の 長き思ひは 我そまされる
00199
題しらす
よみ人しらす
秋の夜は つゆこそことに さむからし 草むらことに むしのわふれは
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00178
おなし御時きさいの宮の歌合のうた
藤原おきかせ
契りけむ 心そつらき たなはたの 年にひとたひ あふはあふかは
00179
なぬかの日の夜よめる
凡河内みつね
年ことに あふとはすれと たなはたの ぬるよのかすそ すくなかりける
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00237
ものへまかりけるに、人の家にをみなへしうゑたりけるを見てよめる
兼覧王
をみなへし うしろめたくも 見ゆるかな あれたるやとに ひとりたてれは
00238
寛平御時、蔵人所のをのこともさかのに花見むとてまかりたりける時、かへるとてみな歌よみけるついてによめる
平さたふん
花にあかて なにかへるらむ をみなへし おほかるのへに ねなましものを
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00225
是貞のみこの家の歌合によめる
文屋あさやす
秋ののに おくしらつゆは 玉なれや つらぬきかくる くものいとすち
題しらす
僧正遍昭
かほをよみ うちみはかりそ をみなへし われはおちぬと ひとにかたるな
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00221
題しらす
よみ人しらす
なきわたる かりの涙や おちつらむ 物思ふやとの 萩のうへのつゆ
00223
題しらす
よみ人しらす
をりて見は おちそしぬへき 秋はきの 枝もたわわに おけるしらつゆ
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00214
これさたのみこの家の歌合のうた
たたみね
山里は 秋こそことに わひしけれ しかのなくねに めをさましつつ
00220
題しらす
よみ人しらす
あきはきの したは色つく 今よりや ひとりある人の いねかてにする
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00211
題しらす/このうたは、ある人のいはく、柿本の人まろかなりと
よみ人しらす(一説、柿本の人まろ)
夜をさむみ 衣かりかね なくなへに 萩のしたはも うつろひにけり
00213
かりのなきけるをききてよめる
みつね
うき事を 思ひつらねて かりかねの なきこそわたれ 秋のよなよな
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00530
題しらす
読人しらす
かかり火の 影となる身の わひしきは 流れてしたに もゆるなりけり
00531
題しらす
読人しらす
はやきせに 見るめおひせは わか袖の 涙の河に うゑましものを
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00509
題しらす
読人しらす
伊勢の海に つりするあまの うけなれや 心ひとつを 定めかねつる
00527
題しらす
読人しらす
涙河 枕なかるる うきねには 夢もさたかに 見えすそありける
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古今和歌集/巻十一 00506
題しらす
読人しらす
人しれぬ 思ひやなそと あしかきの まちかけれとも あふよしのなき
00508
題しらす
読人しらす
いて我を 人なとかめそ おほ舟の ゆたのたゆた に物思ふころそ
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00242
題しらす
平貞文
今よりは うゑてたに見し 花すすき ほにいつる秋は わひしかりけり
00243
寛平御時きさいの宮の歌合のうた
ありはらのむねやな
秋の野の 草のたもとか 花すすき ほにいててまねく 袖と見ゆらむ
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00239
これさたのみこの家の歌合によめる
としゆきの朝臣
なに人か きてぬきかけし ふちはかま くる秋ことに のへをにほはす
00240
ふちはかまをよみて人につかはしける
つらゆき
やとりせし 人のかたみか ふちはかま わすられかたき かににほひつつ
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00688
寛平御時きさいの宮の歌合のうた
よみ人しらす
思ふてふ 事のはのみや 秋をへて 色もかはらぬ 物にはあるらむ
00689
題しらす/又は、うちのたまひめ
よみ人しらす
さむしろに 衣かたしき こよひもや 我をまつらむ うちのはしひめ
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古今和歌集/巻十二 00557
返し
こまち
おろかなる 涙そそてに 玉はなす 我はせきあへす たきつせなれは
古今和歌集/巻十四 00687
題しらす
よみ人しらす
あすかかは ふちはせになる 世なりとも 思ひそめてむ 人はわすれし
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